ジニアスコートIAR
冷間鍛造金型 樹脂成形金型
耐腐食性に優れるCrNをベースに、独自の超多層コーティング技術を駆使し、 種々の金型に要求される特性をバランスよく付与した各種コーティングを提供致します。
- 耐腐食性+耐焼き付き性+耐熱性+耐衝撃性に優れ、靭性のあるコーティングです。
膜種(基本構造)
窒化クロム(CrN)をベースに、アルミ系セラミックを 組みあわせた超多層構造
基本物性
CrN系
超多層
銀
1800~2000Hv
2~4μm
PVD
400~500℃
1000℃
可(鋼)
基本特性
Excellent
Good~Excellent
(ラップ後)
Good
Excellent
Excellent
Good
Excellent
特徴
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1.耐熱温度1000℃!
弊社CrNスタンダードグレードで800℃の酸化開始温度を、ジニアスコートIARでは1000℃まで引き上げることに成功しました。 熱間鍛造金型やダイキャスト金型など、発熱環境の非常に厳しい用途でも工具や金型の寿命延長に貢献します。
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2.超多層構造
ベースとなる窒化クロム層と、アルミ系セラミックの調整層を、数ナノメートルレベルの超薄膜で積層。 用途によっては1000層にも達する超多層化を実現することが可能です。
超多層化により、CrNの良さに、さらなる耐熱性を加えることが可能になりました。 -
3. 耐腐食性に優れたコーティング
セラミックコーティングの中でも特に耐腐食性優れるCrNをベースにしています。
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4. 摺動性に優れた薄膜コーティング
摺動性の高さ(摩擦係数の低さ)もCrN系コーティングの魅力の1つです。ドライ加工、無潤滑環境下での加工への適性にも優れています。
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5. 銅への相性の良さ
銅との凝着が発生しにくため、銅電極や銅合金製部品(真鍮、洋白、リン青銅等)の切削工具や加工金型へのコーティングに最適です。 また、CrNの耐熱性の高さと摩擦係数の低さから、高速ドライ切削でも優れた性能を発揮します。
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6. 成膜温度が低い
比較的低温で処理できるPVD方式で成膜するため、基材の熱変形や変質を軽減することができます。
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7. 硬度を要する用途にも適用可能
一般的なCrNコーティングに比べて硬度が高いため、耐熱性や摺動性に加えて、硬度が要求されるような用途でも適用しやすくなっています。
標準試験データ(特性比較データ)
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硬度と耐熱温度の位置関係図
ジニアスコートIARは、一般的なCrNコーティングよりも高い耐熱性を要求される用途に適しています。
更なる耐熱性や硬度を要求される場合は、IAXもお勧めです。
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純銅に対する耐摩耗性改善効果の測定データ
純銅に対する耐摩耗性改善効果を、窒化チタン系コーティングと比較しました。
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【その他の参考データ】
相性データ
基材 | 炭素鋼 | 合金工具鋼 | ハイス | ハイテン | SUS | 軸受鋼 | 超硬合金 |
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IAR | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
※成膜温度に耐えられる材料であることが前提となります。
相手材 | 炭素鋼 | 工具鋼 | ハイテン | SUS | 鋳鉄 | 銅 | アルミ合金 | プラスチック |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
IAR | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | △~○ |
除膜、再コーティングについて
鋼については除膜および再コーティングが可能です。
用途と効果
窒化クロムベースのジニアスコートIARは、CrNコーティングの持つ耐腐食性の高さ、摺動性の高さなどに加えて、1000℃に達する耐熱酸化性能を持っているため、発熱条件の厳しい用途に適しています。 また、ジニアスコートIARは、金型需要への高性能なセラミックコートの提供を目的として誕生したグレードでもあるため、各種金型の表面処理のニーズに、幅広くかつ高度に対応いたします。
プラスチック・ゴム金型
プラスチック成型金型や合成ゴム成形金型における腐食性ガスへの耐性が強く、また、離型性にも優れることから、 金型のメンテナンス性の改善はもとより製品離型時の割れ、カケ等の防止に繋がります。
熱間加工金型
耐熱性と硬度を合わせ持つコーティングとして、熱間プレス加工などの金型、ダイカスト金型などのコーティングに用いられています。
銅・銅合金切削工具、金型
銅に対する安定性の高さから銅や銅合金(真鍮、洋白、リン青銅等)の加工用工具、金型に多く用いられています。 ジニアスコートIARを実施することで、銅との凝着や摩耗を防止することができます。
ジニアスコート 窒化系コーティングシリーズのラインナップ
弊社の「ジニアスコート(Geniuscoat)」は、「DLCコーティングシリーズ」「窒化系コーティングシリーズ」をベースに、お客様の課題に合わせたカスタマイズ仕様のコーティングをご提供しており、
お客様からご要望や各種条件をお聞きした上で、膜の構造設計として、基材との界面、表面、中間層の組成や多層構造化や傾斜構造化の要否の検討を行い、その膜を実現するためのベースとなるプロセスを選んだ上で、成膜条件や炉内にセットする治具等を検討していきます。
ここでは、カスタマイズのベースとなる標準仕様のファインコーティングのラインナップを詳しくご紹介します。